赤ちゃん期に特に気になる予防接種のこと。中国でも安心して予防接種を受けられるの?日本とどんな違いがあるの?という疑問や悩みは尽きませんよね。
ここでは、先輩たちがどのように子どもの予防接種を行なってきたか、いくつかのケースをご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
※なお、予防接種の基本情報についてはこちらの外務省のページもご確認ください。渡航時の推奨予防接種や、上海の小児予防接種一覧が掲載されています。
外務省「世界の医療事情」中華人民共和国(上海)(「7.予防接種」参照)
先輩たちの接種記録
※赤ちゃんの状態や渡航する月齢などによって大きく変わる可能性がありますので、実際の接種スケジュールはかかりつけ医に必ずご相談ください。
〈ケース①〉上海で出産し、出産した病院で予防接種を継続
〈接種スケジュール〉
・出産当日 B型肝炎①
・出産翌日 BCG
・1ヶ月 B型肝炎②
・2ヶ月 ロタウィルス①、肺炎球菌①
・3ヶ月 五種混合(ヒブ、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)①
・4ヶ月 ロタウィルス②、肺炎球菌②、
(2週間空けて)五種混合②
・6ヶ月 ロタウィルス③、肺炎球菌③、
(2週間空けて)五種混合③、
(さらに2週間空けて)B型肝炎③、髄膜炎菌①
・8ヶ月 MMR(麻疹、風疹、おたふく)①
・9ヶ月 髄膜炎菌②
・12ヶ月 肺炎球菌④、
(2週間空けて)水痘①
・1歳4ヶ月 日本脳炎① ※衛生センターで接種
・1歳6ヶ月 A型肝炎①、MMR②
(2週間空けて)五種混合④
・1歳7ヶ月 インフルエンザ①
・1歳8ヶ月 インフルエンザ②
(現在子ども1歳10ヶ月)
〈メモ〉
・上海で出産すると、出産当日(出産時間によっては翌日)から予防接種が始まります。入院中または退院時に「上海市预防接种证」(ワクチンブック)が渡されます。予防接種を受ける際に毎回必要となる重要なものですので、きちんと保管しておきましょう。
・BCGは日本のハンコ注射ではなく普通の注射です。世界的には日本のハンコ注射が珍しいと聞きました。跡はかさぶたのようになり、1歳になる前にほぼ消えました。
・病院には1年間分のワクチンパッケージ(都度払いよりお得)もありましたが、本帰国の予定などが分からなかったため、毎回都度払いで通っています。
・退院時に今後のワクチン接種スケジュール表をもらえますし、毎回「次はいつ来てね、〇〇を打つよ」と言ってもらえるので、予約を忘れないようにということだけ気をつけています。
・中国では、1日に受けられるワクチンは2種類までとされているため、ワクチンを受ける種類が多い月は、頻繁に病院に行く必要がありました。(特に6ヶ月時)
・日本脳炎は病院に在庫がなかったため、社区の衛生センターで接種しました。生ワクチン(無料、2回接種)と不活化ワクチン(自費、4回接種)の2種類があり、我が家は生ワクチンを接種しました。次回1年後にもう1度接種して終了です。
「日本脳炎の接種に来た」と言ったら、何も聞かれず生ワクチンの接種で話が進んでいたので、希望があれば最初にハッキリ伝えましょう。
参考:社区の衛生センターで予防接種
chinabaobaoinfo.hatenablog.com
〈ケース②〉日本で出産、生後1ヶ月で上海に渡航
〈接種スケジュール〉
【日本】
なし
【上海】
・2ヶ月 ロタウィルス①
(1週間空けて)BCG
・3ヶ月 肺炎球菌①
・4ヶ月 B型肝炎①
(2週間空けて)五種混合①
・5ヶ月 ロタウィルス②
(1週間空けて)B型肝炎②
(2週間空けて)肺炎球菌②
・6ヶ月 五種混合②
(2週間空けて)ロタウィルス③
(1週間空けて)肺炎球菌③
・7ヶ月 五種混合③
・8ヶ月 髄膜炎菌①、MMR(麻疹・風疹・おたふく)⓪(前倒し)
・10ヶ月 B型肝炎③
・11ヶ月 髄膜炎菌②
・12ヶ月 水痘①
・1歳1ヶ月 肺炎球菌④
・直近では日本脳炎①を日本で接種予定
(現在子ども1歳2ヶ月)
〈メモ〉
・何も打たない状態で上海に渡航し、上海で接種開始しました。
・渡航直後に子どもがコロナに罹り、ロタウイルス①の接種開始が遅れてヒヤヒヤしました。
・BCGだけかかりつけの病院では打つことができず、ローカル病院に打ちに行きました。
私は下記サイトを見て、外国人慣れしてそうという理由で同仁医院に行きました。
上海市内の予防接種可能な医療機関リスト
(上海市卫生健康委员会>上海市接种门诊信息)
https://wsjkw.sh.gov.cn/fwjg/20180601/0012-55909.html?eqid=c9e0a092004ea38b0000000664325a72
※BCGは、「卡介苗接种门诊」と記載のある医療機関で接種が可能です。
BCGを打つには中国の「上海市预防接种证」(ワクチンブック)が必要です。私はかかりつけ医からもらいました。他にもパスポート等が必要ですが、特別に用意する必要があるのは预防接种证だけだったと記憶してます。
・かかりつけ医から、肺炎球菌③は生後7か月未満に終了させなければならないと言われていましたが、この接種期限については中国の中でも意見が分かれているようです。うちの子は度々熱を出してスケジュールから遅れていき、ギリギリ生後7か月前に打ち終えました。
・髄膜炎菌は日本人の場合任意ですが、私は中国で暮らす上での感染リスクを考えて打っておくことにしました。
・MMRは原則1歳からとされていますが、お出かけも増えてきたので、念の為前倒しで打っておきました。
・子どもの発熱によりリスケジュールすると、医師と相談のうえ、接種期限等を考慮して順番を入れ替えたりもしました。
・中国では、1日に受けられるワクチンは2種類までとされているため、ワクチンを受ける種類が多い月は、頻繁に病院に行く必要がありました。(特に4~6か月時)
・費用については、夫の会社が補償してくれるのでワクチンパッケージは購入せず都度払いしています。
・私は産院や地域の保健師さん等に予防接種と渡航時期について相談していたのですが、彼らは中国の専門家ではない為中国の予防接種の規制について知らず、海外だとメーカーが違うかもしれないからという理由で、何も打たない状態での渡航を勧められました。しかし、中国にはとても複雑な規制・制限等があり、肺炎球菌③などはギリギリとなってしまいました。事前に中国の事情に詳しい医師に接種スケジュールを相談されることをお勧めします。
〈ケース③〉日本で出産、生後8ヶ月で上海に渡航
〈接種スケジュール〉
【日本】
・2ヶ月 B型肝炎①、ロタウィルス①、ヒブ①、肺炎球菌①
・3ヶ月 B型肝炎②、ロタウィルス②、ヒブ②、肺炎球菌②、4種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)①
・4ヶ月 ロタウィルス③、肺炎球菌③、4種混合②
・5ヶ月 4種混合③、BCG
・7ヶ月 日本脳炎①、狂犬病①
(7日後)日本脳炎② (6日後〜OK)、狂犬病②(7日後〜OK)
・8ヶ月 B型肝炎③、狂犬病③(21日後〜OK)
【上海】
・12ヶ月 肺炎球菌④、MMR(麻疹・風疹・おたふく)、水痘①
・1歳1ヶ月 髄膜炎菌①
・1歳3ヶ月 髄膜炎菌②
(現在子ども1歳4ヶ月)
〈メモ〉
・日本脳炎:基本的に3歳が初回接種となりますが、可能な限り日本で接種したいと思い、7ヶ月に接種開始しました。(6ヶ月〜可能)3回目はおおむね1年あける必要があるので、一時帰国時に接種する予定です。
・狂犬病:日本の小児科で、まだ歩かないうちは親が常についているため、噛まれるリスクが低い。上海に行ってからの接種で良い、という意見も頂きました。小さいうちに接種し、副作用が出るのも心配しましたが、日本で打つ安心感があったので接種してから渡航しました。
・髄膜炎菌は中国では定期接種になっているので、安心のため上海で接種しました。
・入国前は海外での予防接種に不安や抵抗がありました。しかし、日本・中国の接種内容や時期の違いなどを丁寧に病院から説明して頂けたり、スケジュールを組んで頂けたので安心して受けられています。
※MMR:中国3回接種(①8ヶ月②18ヶ月③6歳)、日本2回接種(①1歳②4ー6歳)
〈ケース④〉日本で出産、1歳9ヶ月で上海に渡航
〈接種スケジュール・メモ〉
【日本】
・上海渡航までは日本の定期接種通りに接種。
コロナ禍でビザ取得から渡航までの期間が短かったこともあり、日本脳炎は未接種。
【上海】
・上海の病院に相談し、上海では蚊が多く、本帰国まで数年あることから、念のため中国産の日本脳炎ワクチンを接種することに。スケジュールは、1回目の1週間後に2回目、3回目はその1年後です。
日本産の日本脳炎ワクチンとの互換性はないため、日本に帰国後、また一から日本脳炎を接種する予定です。
上海で予防接種可能な医療機関
スタッフや周りの人が実際に予防接種を受けに行ったことのある医療機関の一例です。
最新状況やワクチンの在庫等は、事前に各医療機関にご確認ください。
・上海嘉会国際病院
・アメリカンサイノ
・上海ユナイテッドファミリーホスピタル
・上海グリーンクリニック
・上海ヨセミテクリニック浦東院
・社区の衛生服務中心(衛生センター)
↓詳細はこちらの医療リストもご参照ください。
上海の医療リスト | 中国・上海日本語フリーペーパー『上海ジャピオン』ウェブサイト
関連情報
・上海SUKU⭐︎SUKUの立ち上げをされた後藤さんのブログの、予防接種についての記事です。日本と中国の予防接種の違いなどが紹介されています。
・日本小児科学会の日本脳炎ワクチンについてのお知らせです。生後6ヶ月以降であれば接種可能であることなどが記載されています。